2月3日「節分」にまつわる色のいろいろ「香色(こういろ)」

色のおはなし 2024.02.03配信

2月3日「節分」にまつわる色のおはなし

本日は2月3日ということで、節分のおはなしを少々。節分は季節の節目、季節が変わる日です。現在では立春の前の日ですが、本来は、立春・立夏・立秋・立冬の前日全てが節分でした。そんな節分にまつわる色のおはなしを二つほどさせていただきます。

 

1.節分豆の色「香色(こういろ)」

まずは節分の豆まきについて、今一度おさらいしてみましょう。立春の前日にあたる節分は、春を迎えるための大きな節目と考えられてきました。その節目にあたり、これまでの災厄を祓い無病息災を願うために行われるのが豆まきです。一般的に炒った大豆が使われますが、これは「魔(ま)の目(め)を射る(煎る)」の語呂合わせといわれ、災いの象徴である鬼を「鬼は外、福は内」の掛け声とともに追い払います。きちんと鬼を追い出した後は、年の数だけ豆を食べ、身体の中にも福を取り込みます。

 

節分豆に色名をつけるなら「香色(こういろ)」。冬枯れた草のような、淡く渋い茶色は貴重な香木で染色されています。もののあはれを愛した平安貴族お気に入りの、雅やかで上品な色です。染料となった木の種類によって色あいは異なりますが、総じて淡く渋い茶色です。香木で染めた布は芳香があるといわれ、風雅を愛した平安貴族からも人気が高く、源氏物語や枕草子にも頻繁に登場します。

<参考文献:日本の伝統色を楽しむ(東邦出版)>

 

 

2.鬼の色は「五色」

鬼を追い払う豆まきのルーツは、平安時代の邪気を祓う宮中行事「追儺(ついな)」の中の豆うち。節分に追儺が行われるようになったのは室町時代以降で、鎌倉末期までは、十二月晦日に行われていました。

 

ところで、鬼といえば何色を思い浮かべますか? 諸説ありますが、節分の鬼の色は五種類と言われています。仏教では修行の邪魔になる五つの煩悩を総称して五蓋(ごがい)と呼び、その教えに基づき、鬼にその五つが当てはめられました。

 

それでは、五種類の鬼の色と、それぞれが持つ邪気を見てみましょう。豆まきの効果にも注目です。

 

赤鬼貪欲(とんよく)…欲望、渇望

⇒赤鬼に豆をぶつけると、全ての悪い心が取り除かれます。

 

青鬼瞋恚(しんに)…悪意、憎しみ、怒り

⇒青鬼に豆をぶつけると、幸福、利益に恵まれます。

 

緑鬼惛沈(こんじん)・睡眠(すいめん)…不摂生、眠気、怠慢

⇒緑鬼には、健康を祈って豆をぶつけ、不摂生を取り除きます。

 

黄鬼掉挙(じょうこ)・悪作(おさ)…後悔、甘え、我執

⇒黄鬼に豆をぶつけると、自己中心的な考えが無くなります。

 

黒鬼疑(ぎ)…愚痴、疑心

⇒黒鬼に豆をぶつけると、卑しい気持ちが薄れ、平穏になります。

 

年が改まる立春を前に、一年の穢れを祓いましょう。煩悩だらけの心に潜む五色の鬼に豆をぶつけて、我が身の邪気を取り払いたいものです。それでは最後にみなさまの無病息災を願いつつ……「鬼は外!福は内!」

 

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