希望に満ちた明るい未来を感じさせる「薔薇色(ばらいろ)」

色のおはなし 2025.05.30配信

あらためて考えてみる。「薔薇色(ばらいろ)」ってどんな色?

皆さま、ごきげんよう。シンシアカラーズです。本日は季節の色のお話です。

 

5月から6月に美しく咲き誇る花といえばバラ。赤・ピンク・白・黄色・紫・オレンジ・緑・茶・青・褐色・クリーム色など、バラの色は実に多彩ですよね。色や本数によっても花言葉が違うという、大変奥深い花でもあります。

 

さて、突然ですがここで質問です。「薔薇色(ばらいろ)」と聞いて、皆さまはどんな色を思い浮かべますか?

 

真っ赤?それとも艶やかなピンク色? なんやかんやで赤系の色を思い浮かべた方が多いかもしれませんね。かく言う私もその一人なのですが……はっきりとこの色だ!と指し示せないことに気づいてしまいました。

 

ということで本日は、5月から6月にかけて美しく咲き誇るバラの名を持つ「薔薇色(ばらいろ)」について深掘りしたいと思います。どうぞお付き合いください。

 

 

「薔薇色(ばらいろ)

英名でローズ・レッドと呼ばれる鮮やかな赤色。「la vie en rose、薔薇色の人生」と言われるように、幸福や喜び、希望に満ちあふれた世界にたとえられる明るい色。薔薇の花は日本では「そうび」と呼ばれ、『源氏物語』などにも登場するが、色名として用いられることはなく、ヨーロッパ文化の受容とともに流行ったようだ。(吉岡幸雄著「日本の色辞典」より)

 

赤系統のバラの花の色を薔薇色という。西洋バラにちなむ色名で日本古来の伝統色名ではない。明治以降に使われるようになったもので、色を表現するのではなく、明るく希望に満ちた状態をたとえるために使われることも多い。(永田泰弘監修「日本の色 世界の色」より)

希望に満ちた明るい世界や未来を表現

あらためて調べてみると、薔薇色のカラーコードに関しては若干の色幅があるなというのが率直な感想です。「薔薇色」が色名として使われるようになったのは、西洋バラの伝来した明治時代以降であって、日本古来の色名ではないという由来に関しては確かなようです。

 

何よりも興味深かったのが、「薔薇色」は色名よりも、希望に満ちた明るい世界や未来を表現する言葉としての方がなじみ深いということ。

 

言われてみれば自分自身も、色そのものを示すというよりは、「薔薇色の未来」「薔薇色の人生」というように幸せな明日を予感させる表現として使うことの方が多いことにあらためて気づかされます。

フランスの色名「Rose(ローズ)」について

フランスの伝統色「Rose(ローズ)」は、英色名の「Pink(ピンク)」に相当する色名。紫系から黄赤系にいたる高明度・低彩度の色域に及ぶ赤系の色です。リップなどコスメではよく耳にする色名ですよね。

 

バラの花の彩りは多岐に及びますが、「薔薇色」はこの「Rose(ローズ)」をより鮮やか寄せた色というのが最終的な印象でした。

 

 

シンシアカラーズでは、季節の移ろいとともに色の世界を廻りながら、そこにまつわる興味深いお話もあわせて紹介してまいります。本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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