日本の春の代表色。はじまりを予感させる「桜色(さくらいろ)」

色のおはなし 2024.03.26配信

日本の春の代表色。はじまりを予感させる「桜色(さくらいろ)」

暦の七十二候の上では「桜始開(さくらはじめてひらく)」の時期を迎えました。その春の初めて桜が咲くころを意味します。今年は寒の戻りもあって桜の開花が遅れているようですね。今週お花見を予定してましたが、少しばかりフライングだったようです。今回の色のおはなしは、満開に咲き誇る桜に思いを馳せながら、ほんのりピンクの「桜色(さくらいろ)」を見ていきましょう。

 

「桜色(さくらいろ)」

桜の花のようなほんのりと色づいた淡い紅色をいいます。

 

お花見の桜といえばソメイヨシノを思い浮かべますが、これは江戸時代の終わりごろに改良された品種で、それ以前には桜といえばヤマザクラが主流でした。春のお花見で桜を愛でるようになったのは平安時代と言われており、それ以前の奈良時代にはお花見といえば梅のこと。お花見が一般庶民にまで広がったのは江戸時代で、それが今に至るまで続いているというわけです。

 

次に「桜色」に関連する色として「灰桜(はいざくら)」と「桜鼠(さくらねずみ)」をご紹介します。

 

 

●灰桜(はいざくら)
桜の花びらのようにはんなりとした淡紅色、灰みがかった明るい色をいいます。鼠系統の色の中でも特に明るく、温かみのある色です。晴れやかながらも地味な色調は、上流階級の女性に好まれました。篝火に映える夜桜のような色です。

 

●桜鼠(さくらねずみ)
淡い紅色が灰色あるいは薄墨がかって、わずかにくすんだ薄い桜色をさします。色名としては「灰桜」と同じように用いられますが、語源からすると「灰桜」は灰みの桜色、「桜鼠」は桜色を帯びた鼠色ということになります。江戸後期に鼠色が流行し、百鼠といわれるほどに数多くの鼠色が登場しました。「桜鼠」もそのひとつです。

春を彩るピンク色。「紅梅色」「桃色」「桜色」を比べてみよう

以前ご紹介しました「紅梅色(こうばいいろ)」「桃色(ももいろ)」、そして今回の「桜色(さくらいろ)」。春を彩る花々を表現した3色をあらためて比較してみましょう。

 

同じ赤系統、ピンク色ではありますが、こうして並べてみると「桜色」は特にほんのりとした淡い色であることがわかります。ふんわりと柔らかく、優しい色です。こうした微妙な違いを知って見る春の世界は、今まで以上に彩り鮮やかに、そして美しく映るのではないでしょうか。

 

シンシアカラーズでは、色の世界を辿りながら、そこにつながる興味深いおはなしもあわせて紹介しています。今回も最後までお読みくださりありがとうございました。

 

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